英清算機関のデリバティブ取引決済、離脱後も1年半はEUで可能に

欧州委員会が英国のEU離脱の移行期間が終了してからも1年半は、英国に拠点を置く清算機関がEU域内の顧客向けのデリバティブ取引決済業務を継続できるようにすることを決めたもようだ。ロイター通信など複数のメディアが15日に報じた。

欧州では企業などが相場変動のリスク回避などに利用しているユーロ建てデリバティブ取引で、ロンドン証券取引所(LSE)グループのLCHクリアネット、ロンドンのICEクリア・ヨーロッパが中央清算機関として圧倒的なシェアを握っている。英国がEUを離脱した1月以降も域内の顧客はこれらの決算機関を利用しているが、英国とEUによる何らかの取り決めがないまま移行期間が終了する12月末を迎えると利用できなくなり、デリバティブ取引の決済処理が混乱する。

このため、欧州委は7月、移行期間終了後も一定期間は英清算機関がEU市場にアクセスすることを認める方針を打ち出していたが、具体的にいつまで同措置を適用するかは決まっていなかった。

ロイター通信などが入手した欧州委の提案によると、同措置は2020年1月1日から22年6月末まで実施する。ユーロ圏の清算機関が能力を拡充し、英の清算機関が担ってきた業務を遂行できるようになるまでの準備期間という位置づけだ。

EU加盟国は18日までに欧州委の提案を検証し、月内に承認する見込みだった。しかし、消息筋がロイターに明らかにしたところによると、欧州委は英政府がEUとの離脱協定の一部を無効とする国内法案を提出したことに反発し、正式決定の先送りを決めたという。

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