SAP―米子会社クアルトリクスをIPO―

ソフトウエア大手の独SAP(ヴァルドルフ)は26日、米子会社クアルトリクスの新規株式公開(IPO)方針を発表した。投資資金を確保する狙い。ルカ・ムチッチ取締役(財務担当)は株式公開益を利用して買収を行う可能性もあることを明らかにした。

SAPは昨年1月、クアルトリクスを完全買収した。買収価格は現金80億ドル。クアルトリクスは当時、売上高が50万ユーロ程度にとどまっていたことから、巨額買収に対しては投資家のほか社内からも批判が出ていた。このため、今回のIPOは昨年10月に就任したクリスティアン・クライン社長が前社長の経営路線に修正を加えるものとの見方も出ている。

クアルトリクスは顧客の体験などの情報を分析して製品などに反映させブランド価値を向上させていく「エクスペリエンスマネジメント(XM)」ソフトの有力企業。顧客、従業員、製品、ブランドの4分野でアンケートなどを通してデータ収集し分析するソフトを提供している。顧客企業はこれを利用することで、顧客ニーズに見合った製品を投入し、ブランド価値を引き上げるとともに、従業員の士気や満足度も高めていく。

SAPはIPO後もクアルトリクスの過半数株を保持する。

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