電機業界の国内受注が急増、6月は+33%

独電気電子工業会(ZVEI)がこのほど発表した独業界の6月の新規受注高は前年同月比1.1%減となり、下げ幅は前月の同27.9%から大幅に縮小した。計測機器・プロセスオートメーション、鉄道車両、電池がけん引車となり国内受注が33.2%増加したことが大きい。

国外受注は23.4%減と2ケタ減になったものの、減少幅は前月の30.0%から縮小した。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた規制の緩和を背景にユーロ圏(ドイツを除く)が前月のマイナス32.2%からマイナス1.8%へと改善。ユーロ圏外はマイナス28.7%からマイナス32.7%へと悪化した。

1~6月の新規受注高は前年同期を9.8%下回った。国内が4.8%、国外が13.7%縮小。国外の内訳はユーロ圏が13.9%減、ユーロ圏外が13.6%減だった。

6月の業界生産高は物価調整後の実質で前年同月比5.8%減となり、減少幅は前月の21.7%から大幅に縮小した。1~6月は前年同期比8.7%減だった。

7月(第3四半期初頭)の工場稼働率は平均75.4%で、4月(第2四半期初頭)の75.9%を0.5ポイント下回った。

7月の生産計画(先行き3カ月)で「拡大」を予定する企業の割合は前月の17.3%から26.5%へ増えた。「縮小」が同27.4%から22.1%へと減ったことから、拡大の割合から縮小の割合を引いた数(ディフュージョン・インデックス=DI)はマイナス10.4ポイントからプラス4.5ポイントへと改善した。

同DIを部門別でみると、白物家電(+79.9ポイント)、娯楽家電(+34.6ポイント)、情報機器(+16.7ポイント)で数値が特に高かった。巣ごもり消費や在宅勤務が追い風となっているもようで、これら3部門は景況感も良好だった。通信機器(-44.1ポイント)、電子部品(-19.7ポイント)、ケーブル(-12.2ポイント)は振るわなかった。

6月の業界売上高は前年同月比4.2%減の148億ユーロへと落ち込んだものの、減少幅は前月の22.4%から大幅に狭まった。国内売上は0.9%減、ユーロ圏は同8.7%減、ユーロ圏外は5.8%減だった。

1~6月の売上高は855億ユーロで、前年同期を8.5%割り込んだ。ユーロ圏が11.9%、国内が7.7%、ユーロ圏外が7.5%減少した。

7月の業界景況感指数(現状判断指数と期待指数の中央値)は前月のマイナス24.1からマイナス11.1へと上昇し、3カ月連続で改善した。期待指数(今後6カ月の見通しが「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)がマイナス5.7ポイントからプラス9.1ポイントへと上昇。5カ月ぶりにプラスの領域へと戻った。現状判断指数(現状を「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数=DI)もマイナス40.7ポイントからマイナス29.4ポイントへと改善している。

景況感指数は白物家電(+59.3)、娯楽家電(+40.3)、情報機器(+11.5)、配線システム(+1.9)の4部門でプラスとなった。

同指数が特に振るわなかった部門は通信機器(-57.8)、照明(-41.1)、電気駆動装置(-20.5)、プロセスオートメーション(-17.6)、電子部品(-15.1)、ケーブル(-12.9)。現状判断の数値が低いことが共通している。通信機器は期待指数もマイナス42.8ポイントと極めて低い。

今後3カ月の輸出見通しを示す指数(DI)は前月のマイナス12.4ポイントからプラス1.4ポイントへと上昇し、3カ月連続で改善した。計15部門のうち8部門がプラスの領域に入った。白物家電(+50.0ポイント)と情報機器(+45.3ポイント)が特に好調だった。

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