蘭電機大手フィリップス(アムステルダム)は白物家電部門の売却に向けた交渉を今秋にも開始する予定だ。広報担当者の確認を得た情報として独『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
フランス・ファン・ホーテン最高経営責任者(CEO)は1月、同部門の放出方針を打ち出した。経営資源を医療機器分野に絞り込む考えで、今後1年以内に手放す考えだ。
白物家電部門ではコードレス掃除機やエアフライヤー、コーヒーメーカーなどを製造している。昨年の売上高は約23億ユーロ。歯ブラシや電気シェーバーなど個人用ヘルスケア製品、ボディケア製品事業は手元に残す。
同社はかつて総合家電メーカーだったが、テレビや電球などの事業からすでに撤退。半導体事業は06年に売却済みだ。
白物家電部門の放出では数十億ユーロ規模の売却益が見込まれている。また、売却後は「フィリップス」ブランドのライセンス料が入る見通し。同社から2016年に分離された照明部門(現シグニファイ)は同ブランドのライセンス料を最低20年間、支払うことになっている。
フィリップスは白物家電部門の新規株式公開(IPO)も視野に入れているものの、IPO後の成長の見通しが低いことから、可能性はほとんどないと目されている。シナジー効果を期待できる家電メーカー、ないし家電メーカーを傘下に持つ投資会社が売却先の有力候補だ。