シェフラー―再編強化で4.4千人を追加削減―

軸受け大手の独シェフラーは9日、組織再編に向けた取り組みの強化方針を発表した。新型コロナ危機を受けて市場の中期的な見通しが大幅に悪化したことに対応する狙い。生産能力の削減や拠点の統廃合を通して競争力を持続的に維持できる体制を構築する。これに伴いドイツを中心に欧州で4,400人規模の追加人員整理を実施する。

同社は2018年、自動車業界の構造転換などを受けて欧州工場の再編や組織のスリム化を開始し、英独の一部拠点を閉鎖・売却。早期退職プログラムも実施してきた。これにより従業員数は18年末から今年6月末までに9%(8,250人)減り8万4,223人となった。

新型コロナ危機にはこれまで、生産調整や労働時間口座の取り崩し、操短など短期的な措置で対応してきた。だが、世界の自動車生産台数が危機前の水準に回復するのは25年、鉱工業生産は早くても同24年と予想されていることから、中期的な視野に立った措置が避けられなくなった。

今回打ち出した組織再編に伴い◇独クラウスタール・ツェラーフェルトのエンジニアリング拠点を売却ないし閉鎖する◇ブッパータール工場の閉鎖を検討する◇エルトマン工場の生産事業を近隣のシュヴァインフルト工場へと移管する◇ルッケンヴァルデ工場の生産事業を他工場へと部分移管する◇ハンブルクとケルンにあるアフターマーケット事業拠点の従業員に対し可能な限り在宅勤務を要請する――考えだ。その一方で、一部の拠点にはコンピテンスを集約する方針で、本社所在地ヘアツォーゲンアウラハは水素技術の中核拠点とする。

これらの措置により、年コストを2億5,000万~3億ユーロ圧縮し、浮いた資金を将来性の高い事業と技術に投資する。23年にはコスト削減目標の90%を達成する計画だ。リストラ費用は約7億ユーロに上る。

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