操短手当特例ルール延長へ、コロナ危機の長期化受け法案を閣議了承

ドイツ政府は16日の閣議で、新型コロナ危機を受けて導入している操短手当の特例ルール延長を柱とする法案と政令案を了承した。新型コロナウイルス感染症の流行とそれに伴う経済危機が収束するめどが立たないことに対応。失業者の大幅増を回避する考えだ。フベルトゥス・ハイル労働相は、操短手当の財政負担は大きいが、同手当がなければ失業者が大幅に増え「財政的、社会的にはるかに高くつく」と趣旨を説明した。

操短手当は操業短縮で目減りした賃金の60%ないし67%を連邦雇用庁(BA)が肩代わりで支給する制度。67%の肩代わりが適用されるのは子供のいる被用者で、そのほかの被用者は60%となっている。最長で1年間、受給できる。

政府は同手当の特例ルールを6月に導入。目減りした賃金の補償比率については子持ちの被用者で最大87%、それ以外の被用者で同80%へと引き上げた。同比率は操短4カ月目に67%(60%)から77%(70%)、7カ月目に87%(80%)へと上昇する。政府はこのルールの適用期限を今年末から来年末へと延長する。また、操短手当の受給期間も最大2年へと引き上げる。

操短期間中の雇用主の社会保険料負担を全額、免除する特例ルールも来年6月末まで延長する。同年7月1日から年末までの半年間は免除比率を原則50%に引き下げるものの、操短対象の被用者に職業研修を行う場合は引き続き全額免除を認める。これにより、操短期間を利用して被用者がスキルアップを図ることを後押し、国内の労働力の質を向上させる狙いだ。

法案・政令案にはこのほか、◇操短の対象となる被用者が減収分を、臨時の副業を通して穴埋めする特例ルール(合計の収入が本業の本来の月収を超えないことが条件)を来年末まで延長する◇派遣社員にも操短手当を支給する――規定が盛り込まれている。

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