年24日の在宅勤務権、労相が法制化に意欲

ドイツのフベルトゥス・ハイル労相は被用者に最低でも年に計24日、在宅勤務する権利を付与する方向で法案を作成する意向だ。新型コロナウイルス感染症の流行で在宅勤務の利用者が急増したことを踏まえたもので、同相は日曜版『ビルト』紙に、「モバイル勤務の余地がこれまで想定していたよりも大きいことをこのウイルスは我々に教えた」と語った。

業務や組織上の支障がない限り、被用者に在宅勤務の権利を認める意向だ。法案が仮に施行されると、店員や看護師、警察官など業務の性質上、仕事場を選べない人を除いて適用されることになる。

連邦労働省のアンケート調査によると、7―8月に在宅勤務を行った被用者の割合は36%に達し、前年同期の24%から12ポイント増加した。そのうち87%が在宅勤務に「とても満足している」「満足している」と回答している。

在宅勤務権の法制化に対しては経済界から批判が出ている。独雇用者団体連合会(BDA)のインゴ・クラーマー会長は、モバイル勤務が可能な職種・職場に対してはすでに雇用主が導入を済ませている」と指摘。同権利を法制化すると過度の期待感を生み出しかねないと警戒感を示した。

一方、独労働組合連合会(DGB)のライナー・ホフマン会長は、有給休暇を取得できる日数が年24日というのは多くの被用者にとって少なすぎると批判した。これについてハイル労相は、24日というのは最低ラインだと指摘。労使・社内協定を通して上乗せすることは可能だとして理解を求めた。

在宅勤務権の法制化に伴い同相は労災保険と勤務時間の記録に関するルールを改正する意向だ。労災保険では例えば、保育施設などへの子供の送り迎えの途中で起きた事故を適用対象にすることを検討している。

勤務時間についてはアプリなどを通してデジタル管理することを義務化する。各被用者が何時間、働いたのか、および何時間、残業したのかを客観的に把握するためには全労働時間の記録作成が必要不可欠だとする欧州司法裁判所(ECJ)の昨年の判決を念頭に置いている。

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