統合基幹業務システム(ERP)大手の独SAP(ヴァルドルフ)は1日、オーストリアのソフト会社エマルシス(Emarsys)を買収することで合意したと発表した。販売ソフト事業を強化することが狙い。買収金額は明らかにしていないものの、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、10億ユーロを大幅に上回るもようだ。10-12月期(第4四半期)中の買収手続き完了を見込む。
エマルシスは顧客との良好な関係を構築するカスタマーエンゲージメント分野のソフトを手がけている。同社がクラウドベースで提供するプラットホームを利用することで、企業は顧客と製品データをもとにパーソナライズド広告を作成・送信できる。
エマルシスはフォルクスワーゲン(VW)の監査役会長を15年まで務めていたフェルディナンド・ピエヒ氏の甥に当たるヨーゼフ・アーホルナー氏などが2000年に設立した。顧客企業数は1,500社に上る。売上高は1億6,800万ユーロ、従業員数は800人。
SAPは自社の第4世代のERP製品である「SAP S/4HANA」、および昨年買収した調査ソフト企業クアルトリクスのソフトとエマルシスのソフトを組み合わせることで、顧客企業があらゆるチャンネルを通していつでもカスタマーにコンタクトを取れるようにする考えだ。