ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日発表した9月の乗用車新車登録台数は26万5,227台となり、前年同月を8.4%上回った。増加は9カ月ぶりで、今年初めて。新型コロナ危機の影響緩和策の一環で環境対応車の購入補助金が引き上げられたほか、比較対象の2019年9月に比べ営業日数が1日多かったという事情が大きい。1~9月の累計は前年同期比25.5%減の204万1,831台だった。
9月の新車登録台数を動力源別でみると、購入補助金の対象となる電気自動車(EV)は前年同月比260.3%増の2万1,188台、プラグインハイブリッド車(PHV)は463.5%増の2万127台へと、ともに急拡大した。ハイブリッド車(HV。PHVを含む)も185.2%増の5万4,036台と3ケタ台の伸びを記録した。
一方、純粋な内燃機関車は振るわず、ガソリン車は17.6%減の12万645台、ディーゼル車は6.4%減の6万7,901台へと縮小した。
シェアをみると、ガソリン車は前年同月の59.9%から45.5%、ディーゼル車も29.6%から25.6%へと縮小した。EVは2.4%から8.0%へと拡大。PHVも1.5%から7.6%へと伸びた。HVは7.7%から20.4%へと増えおり、EVとHVの合計は28.4%と、新車全体の約3割を占めた。
環境対応車が急増し、内燃機関車が大きく後退したことから、走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は前年同月比13.4%減の134.3グラムへと大幅に低下した。
新車登録を部門別でみると、増加幅が最も大きかったのはキャンピングカーで、159.9%に達した。キャンピングカーは新型コロナの感染を避けて旅行したいという消費者のニーズを背景に需要の急拡大が続いている。シェアは2.0%と小さい。このほか、小型車(28.9%増)とトールワゴン・マイクロバス・ピックアップ(21.8%増)で伸び率が大きかった。SUVは9.7%、コンパクトカーは5.7%の幅で増加。ミニバン(46.8%減)、大型バン(19.6%減)、スポーツ車(12.1%減)は振るわなかった。
登録台数の伸び率が最も大きかったブランドはEV専門の米テスラで、82.7%増の3,065台へと拡大した。セアト(71.1%増の1万1,717台)、スバル(70.4%増の663台)、アルファロメオ(59.5%増の418台)、ルノー(58.4%増の1万2,115台)も50%以上の伸びを記録した。
ドイツ車ではアウディが42.4%増の1万6,247台と好調だった。ミニ(4.7%増の4,780台)、メルセデス(1.9%増の2万7,360台)、BMW(1.9%増の2万267台)、VW(1.6%増の4万398台)も前年同月を上回った。フォード(0.8%減の1万8,696台)、ポルシェ(19.7%減の2,016台)、オペル(27.6%減の1万3,388台)、スマート(41.2%減の1,661台)は減少した。
スバル以外の日本車で前年同月を上回ったのは日産(15.0%増の3,628台)、トヨタ(13.7%増の7,796台)、レクサス(0.3%増の333台)の3ブランド。そのほかはスズキが1.3%減の2,866台、ホンダが7.1%減の1,203台、三菱が19.8%減の3,518台、マツダが24.7%減の4,779台だった。
日本車以外の主な輸入ブランドではダチアが36.5%増の3,745台、プジョーが36.1%増の5,247台、シュコダが29.6%増の1万8,152台、フィアットが26.7%増の9,037台、起亜が24.3%増の6,899台、シトロエンが22.6%増の4,512台、ジープが11.1%増の1,788台、ジャガーが6.2%増の532台、現代が0.6%増の1万1,744台へと拡大。ランドローバー(1.8%減の1,034台)、ボルボ(5.6%減の3,773台)、双竜(29.0%減の142台)、DS(41.5%減の103台)は減少した。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した9月の国内乗用車生産台数は36万9,300台で、前年同月を11%下回った。輸出台数は16%減の26万6,600台。1~9月は生産台数が前年同期比33%減の238万9,200台、輸出台数が34%減の178万1,400台だった。