ロベルト・コッホ研究所(RKI)は22日、ドイツ国内の新型コロナウイルス新規感染者数が1万1,287人となり、前日(7,595人)から49%増えたことを明らかにした。1日当たりの新規感染者数が1万人を超えるのは初めて。前日には人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数も初めて50人を超え「危険水準」に達しており、感染は急速に拡大している。21日には感染防止の指揮を取るイエン・シュパーン保健相の感染も確認された。
RKIのロタール・ヴィーラー所長は記者会見で、「状況は極めて深刻になっている」と危機感を表明した。地域によっては感染経路を追跡しきれず状況を制御できなくなる恐れがあると指摘。社会的距離(A)、衛生(H)、マスク着用(A)、換気(L)の頭文字を取った「AHA+Lルール」の順守を市民に強く呼びかけた。順守を徹底すれば感染拡大を鈍化させることができるとしている。
感染拡大の大きな起点となっているのは結婚式や誕生会など私的なイベントで、学校や公共交通機関、ホテルでの感染は少ない。年代別ではこれまでに引き続き若年層が多いものの、重篤化しやすい60歳以上も増加傾向にあり、病院で治療を受ける患者が増えている。
シュパーン保健相は感染確認を受けて自宅隔離に入った。ドイツの閣僚の感染は初めて。21日には閣議に参加したものの、現時点で他の閣僚の感染は確認されていない。閣議は閣僚間の距離を十分に取れるよう大きな国際会議場を用いて行われていることから、感染リスクは低いとみられている。
保健相がどこで感染したかは解明されていない。現在は風邪のような症状が出ているものの軽症で、発熱もない。