基地局の機能を持たせた無線操作のドローン(無人機)を飛ばし、地上波の届かない地域でもスマートフォンを利用できるようにする実験に、ドイツテレコムが世界で初めて成功した。上空から電波を供給することから、障害物による通信障害を回避できるメリットがあり、山岳地域など電波空白地域の解消につながるとしている。
同社は通信用ドローンを開発する英スタートアップ企業ストゥラタスフェリク・プラットホーム(SPL)と共同で今月、独バイエルン州で試験を行った。ドローンを成層圏最下部の高度14キロメートルへと飛ばし、4G(LTE)で音声、データの送受信実験を行った。通信速度は2.1GHz帯で下りが毎秒70メガビット、10MHz帯で上りが毎秒20メガビットに上った。直径100キロ圏内をカバーできる。
SPLは2014年の設立。現在は水素を燃料とする通信用ドローンの開発に取り組んでいる。22年に第1回目のテスト飛行を行い、24年に実用化する計画だ。資金調達に向けて現在、投資家と協議を進めている。
ドイツテレコムはSPL株38%を保有する筆頭株主で、監査役を送り込んでいる。