苔の力を借りて都市の空気を浄化するパイロットプロジェクトを建設大手のチュプリンと建物緑化のフェリックス・プフランツェンが実施する。4日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
苔には空気中の粒子状物質を浄化するフィルター効果があることが、ボン大学などの研究で分かっている。両社はこれを実際の生活環境のなかで実現するために、シュツットガルトでプロジェクトを行う。
両社はプロジェクトに向けて3年間、独繊維研究所(DITF)と共同で研究機開発を実施。苔で覆われたモジュール型の壁システムを開発した。同システムは苔が脱落しないよう特殊加工した繊維で表面が覆われている。また、苔は湿気や水がないと活動を停止してしまうため、水が恒常的に行き渡るよう工夫が施されている。
プロジェクトは今冬に開始。長さ80メートルの壁を設置する予定だ。両社とDITFが実施したシミュレーションでは、車の通行量が多いネッカー門に高さ2.5メートルの苔壁システムを設置した場合、周辺の空気中の粒子状物質を5~10%吸収できるという。
苔の大気浄化機能に対しては連邦環境庁(UBA)が疑問を投げかけている。その理由として◇苔壁程度の面積では空気の浄化機能を実質的に発揮できない◇粒子状物質を壁の苔に運ぶには、ドイツの風力は弱すぎる――を挙げている。