ドイツ連邦陸運局(KBA)が4日発表した10月の乗用車新車登録台数は27万4,303台となり、前年同月を3.6%下回った。前月は9カ月ぶりに増加したが、再び減少に転じた。新型コロナウイルス流行の第2波到来に伴う景気不安の再燃を背景とする企業の投資抑制が響いたほか、比較対象の2019年10月は水準が高かったという事情が大きい。1~10月の累計は前年同期比23.4%減の231万6,134台だった。
10月の数値をみると、社用車としての登録は前年同月比で9.1%減少した。マイカーとしての登録は電動車補助金の拡大や付加価値税率の引き下げ、販促措置の効果で6.8%増加した。シェアは社用車が61.8%、マイカーが38.1%だった。
新車登録台数を動力源別でみると、購入補助金の対象となる電気自動車(EV)は前年同月比365.1%増の2万3,158台、プラグインハイブリッド車(PHV)は257.8%増の2万4,859台へと、ともに急拡大した。ハイブリッド車(HV。PHVを含む)も138.5%増の6万2,929台と3ケタ台の伸びを記録した。
一方、純粋な内燃機関車は振るわず、ガソリン車は29.8%減の11万5,382台、ディーゼル車は18.9%減の7万1,370台へと縮小した。
シェアをみると、ガソリン車は前年同月の57.7%から42.1%、ディーゼル車も30.9%から26.0%へと縮小した。EVは1.7%から8.4%へと拡大。PHVも2.4%から9.1%へと伸びた。HVは9.3%から22.9%へと増えおり、EVとHVの合計は31.3%と、新車全体の3割を超えた。EVとPHVの合計も17.5%に上る。
環境対応車が急増し、内燃機関車が大きく後退したことから、走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は前年同月比15.4%減の131.4グラムへと大幅に低下した。
新車登録を部門別でみると、増加幅が最も大きかったのはこれまでに引き続きキャンピングカーで、83.8%に達した。キャンピングカーは新型コロナの感染を避けて旅行したいという消費者のニーズを背景に需要の急拡大が続いている。このほか、小型車(24.6%増)で伸び率が大きかった。ミニバン(36.2%減)、中大型車(27.3%減)、大型バン(19.7%減)、コンパクトカー(11.9%減)は2ケタ減と振るわなかった。SUVは5.3%減少したものの、シェアは21.7%でトップとなった。
登録台数の伸び率が最も大きかったブランドはレクサスで77.2%増の397台を記録。これにダチア(58.1%増の4,568台)、ルノー(27.9%増の1万2,940台)が続いた。
ドイツ車はアウディ(23.1%増の2万922台)とオペル(22.6%増の1万6,867台)が大きく伸びたものの、それ以外はすべて減少した。各ブランドの実績はメルセデスが2.7%減の3万2,698台、ミニが7.6%減の4,347台、BMWが14.4%減の2万825台、VWが17.0%減の4万7,204台、ポルシェが19.0%減の2,711台、フォードが25.9%減の1万6,572台、スマートが34.9%減の2,441台だった。
レクサス以外の日本車ではスバル(10.5%増の411台)とトヨタ(10.3%増の7,979台)が増加。日産は2.8%減の2,616台、ホンダは3.2%減の1,081台、スズキは3.7%減の2,272台、三菱は24.5%減の3,432台、マツダは38.6%減の3,800台へと落ち込んだ。
日本車以外の主な輸入ブランドをみると、フィアットは21.2%増の6,733台、起亜は11.0%増の6,352台と特に好調だった。シュコダ(7.7%増の1万7,151台)、ボルボ(1.6%増の4,571台)、セアト(1.5%増の9,944台)、シトロエン(1.1%増の3,906台)、現代(0.8%増の1万458台)も前年同月を上回っている。ジープ(2.3%減の1,131台)、プジョー(12.1%減の5,054台)、テスラ(14.0%減の252台)、ランドローバー(14.7%減の1,245台)、DS(21.2%減の182台)、アルファロメオ(23.3%減の359台)、双竜(27.2%減の131台)、ジャガー(27.3%減の412台)は減少した。テスラは前月(3,065台)比では90%以上、落ち込んだ。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した10月の国内乗用車生産台数は32万2,300台で、前年同月を2%下回った。輸出台数は2%減の27万6,600台。1~10月は生産台数が前年同期比30%減の277万5,700台、輸出台数が30%減の206万2,900台だった。