自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループ(ヴォルフスブルク)は13日、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、デジタル化に2021~25年の5年間で約730億ユーロを投資すると発表した。20~24年計画の同600億ユーロを22%も上回る水準。自動車業界はコロナ禍の影響で厳しい状況にあるももの、VWは今後の競争でカギを握る分野への投資を拡大する意向だ。ヘルベルト・ディース社長は同社がEVシフトを早い時点で開始したことを指摘したうえで、「今後数年は車載ソフトウエアでもトップポジションを獲得することが重要だ」と述べ、デジタル化投資を特に強化する意向を表明した。
21~25年の有形固定資産・研究開発投資総額は約1,500億ユーロに上る。EV、HV、デジタル化への投資額がこれに占める割合は約50%で、20~24年計画を10ポイント、19~23年計画を20ポイントも上回る。
730億ユーロのうち350億ユーロをEV、110億ユーロをHVに投資する。
デジタル化には20~24年計画の2倍の270億ユーロを振り向ける。主な対象は車載OS、人工知能(AI)、自動運転、事業プロセスのデジタル化。
投資に必要な資金は生産性の30%引き上げとコスト削減でねん出する。需要の少ないモデルバリエーションや装備は削減する意向だ。中国合弁の投資は今回の計画に含まれていない。
同社はまた、30年までにEVを約70モデル、HVを約60モデル、市場投入する計画も明らかにした。EVは同年までに約2,600万台、HVは同約700万台、販売する目標。EV2,600万台のうち1,900万台を、VWグループのEV専用プラットホームである「MEB」の採用車が占める。残り600万台は主に、アウディとポルシェが共同開発中の高級EV専用プラットホーム「PPE」の採用車となる。