英国の老舗百貨店デベナムズは1日、清算する見通しとなったと発表した。すでに経営破綻し、売却先を探していたが、見つからなかったことから再建を断念。管財人が清算手続きに入ることを決めた。これによって242年の歴史に終止符を打ち、消滅する。
デベナムズは1778年創業の百貨店。ネット通販の普及やディスカウントストアの台頭で販売が低迷しているほか、賃料の上昇で経営が悪化し、2019年4月に経営破綻した。その後は米ヘッジファンド、英国の銀行など債権者が設立した新会社の傘下に入って営業を続けてきたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年4月に再び破綻し、管財人の管理下に置かれていた。
同社はスポーツ用品・衣料小売り大手のJDスポーツへの身売りによる救済を模索していた。しかし、主要テナントである衣料大手アルカディア・グループがコロナ禍の影響で11月30日に破綻し、デベナムズの経営難に追い打ちをかけたこともあって、JDスポーツが買収を断念。これを受けて管財人が清算を決めた。
デベナムズは124店舗を運営している。11月5日からイングランド全土で実施されてきたロックダウン(都市封鎖)が解除された2日から営業を再開し、かき入れ時のクリスマスに合わせてセールを行うが、2021年1~3月期に全店舗を閉鎖する。これによって約1万2,000人の従業員が失職することになる。