2020/12/14

EU情報

EUと英の首脳、FTA交渉継続で合意

この記事の要約

欧州委員会のフォンデアライエン委員長と英国のジョンソン首相は13日の電話協議で、膠着状態が続くEUと英国の自由貿易協定(FTA)交渉の打開に向けて、交渉を継続することで合意した。今回のトップ会談で合意できない場合、交渉決 […]

欧州委員会のフォンデアライエン委員長と英国のジョンソン首相は13日の電話協議で、膠着状態が続くEUと英国の自由貿易協定(FTA)交渉の打開に向けて、交渉を継続することで合意した。今回のトップ会談で合意できない場合、交渉決裂となるはずだったが、期限を再延長し、首席交渉官による交渉をぎりぎりまで続ける。

フォンデアライエン委員長とジョンソン首相は7日に電話協議を行い、双方の首席交渉官による交渉が行き詰まったため、両者が直接会談することを決定。ジョンソン首相が9日にブリュッセルのEU本部を訪問し、約3時間にわたって協議した。それでも合意に至らなかったことから、13日を最終期限とし、首席交渉官による交渉を継続することを決めた。

これを受けてEUのバルニエ首席交渉官と英国のフロスト首席交渉官は連日、交渉を行ったが、公平な競争環境の確保、漁業権など大きな争点となっている問題で隔たりがあり、合意に至らなかった。それでも、フォンデアライエン委員長とジョンソン首相は電話協議後に発表した共同声明で「期限は何度も過ぎたが、一層の努力をする責任がある」として、交渉を同日で打ち切りとせず、継続することで合意したと発表。双方の首席交渉官に交渉を続けるよう指示したことを明らかにした。

英国は1月末にEUを離脱したが、12月31日までは「移行期間」となるため、貿易など双方の関係はほとんど変わらない。移行期間中にFTAを締結しなければ、EUと英国の貿易は世界貿易機関(WTO)のルールに沿ったものとなり、関税が復活する。コロナ禍で大きな打撃を受けている双方の経済に追い打ちがかけられる格好となる。

3月に開始されたFTAなど将来の関係をめぐる交渉では、国家の主権を取り戻すことを看板として掲げ、EUのルールに縛られないでも単一市場にアクセスし、関税ゼロでの通商継続を目指す英国と、これを「いいとこ取り」として認めず、公平な競争環境を確保するため英国が今後もEUの競争法や公的補助、環境、労働者の権利などに関するルールに従うことなどを要求するEUの意地の張り合いが続く構図となっている。英国がEUの共通漁業政策から離脱するため、自国水域でのEU漁船の漁業権を制限しようとしていることも大きな障害だ。

トップ協議が行われた13日時点でも、双方からEU、英国間には依然として大きな溝があり、合意は難しいとの声が出ている。ただ、交渉期限の延長は、協議がかなり煮詰まり、合意が射程内に入っていることを意味する。英フィナンシャル・タイムズによると、EU筋は交渉が「全分野で徐々に進展している」と述べたという。

フォンデアライエン委員長とジョンソン首相は、新たな交渉期限を示さなかった。しかし、合意した場合も批准作業を年内に終えなければならないことを考慮すると、クリスマス前の妥結が必要なのは確実だ。残された時間は限りなく短く、合意がないまま移行期間が終了する可能性が高い状況に変わりはない。