再生エネルギー法(EEG)改正案が12月中旬に独連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で可決され、1月1日付で施行された。同国の再生エネ比率目標を達成するために、風力発電と太陽光発電の設置を後押しすることが最大の柱。政府は特に、今後の伸び代が大きい太陽光分野で敷設が進むことに期待している。
同国の消費電力に占める再生エネの割合は2020年に46%(暫定値)を記録した。政府はこれを30年までに65%以上へと引き上げることを目指している。
再生エネ発電総量に占める各電源の割合をみると、風力は53%と圧倒的に多い。発電効率が高いという事情が背景にある。太陽光は20%にとどまる。
風力の主流である陸上風力発電は再生エネの42%を占めるものの、近年は建設反対運動に直面し、新設に急ブレーキがかかっている。この問題の緩和に向けて今回の法改正では、陸上風力タービンで発電された電力に地元自治体が賦課金を課せるようにした。額は1キロワット時当たり0.2セント。これにより建設に対する地元住民の反対を和らげる狙いだ。
ただ、反対運動が弱まることはあってもなくなることは考えにくいことから、政府は太陽光発電向けの支援を強化する。住宅の屋根にソーラーパネルを設置する余地は大きいためだ。
改正EEGにはこのほか、石炭発電の全廃時期に合わせて再生エネへの助成も全面的に打ち切ることも盛り込まれた。石炭発電は早ければ35年、遅くとも38年に廃止されることから、再生エネの助成も15~18年後に終了することになる。