自動車燃料価格が年末から年始にかけて大きく上昇した。二酸化炭素(CO2)の排出を有償化するカーボン・プライシングが1月1日付で始まったうえ、新型コロナ危機対策で引き下げられていた付加価値税(VAT)の税率が同日から本来の水準に引き上げられたためだ。燃料の値上がりを受けて、今年はインフレ率が上昇する見通しだ。
自動車燃料価格情報サイト「クレバー・タンケン」によると、国内主要100都市のガソリン(スーパーE10)価格は12月30日までほぼ横ばいが続いていたものの、31日に前日の1リットル1.252ユーロから1.274ユーロへと上昇。1日にはさらに1.321ユーロに高まった。これは軽油にも当てはまり、同価格は30日の1.14ユーロから31日に1.163ユーロ、1日には1.211ユーロへと上昇した。
ドイツでは地球温暖化防止に向けてカーボン・プライシングが暖房と交通部門に適用された。CO2排出1トン当たりの価格は今年25ユーロ。来年以降、段階的に引き上げられることになっている。
政府はコロナ禍で急速に悪化した経済を底支えするため、VATの標準税率を昨年7月1日付で本来の19%から16%、軽減税率も同7%から5%へと引き下げた。12月末を期限としていたことから、1月1日から従来の税率が復活した。
ドライバーのサポート組織である全ドイツ自動車クラブ(ADAC)の試算によると、カーボン・プライシング導入とVATの本来税率復活の影響で自動車燃料価格は1リットル当たり10~11セント、上昇する。