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ドイツの内燃機関研究協会(FVV)が自己資金(100万ユーロ)を投じて実施したハイブリッド駆動におけるガソリンエンジンの熱効率向上に関する研究プロジェクト。ハイブリッド駆動に高効率の内燃エンジンや再生可能エネルギー由来のカーボンニュートラルな合成燃料を使用することにより、自動車の二酸化炭素(CO2)排出量削減に寄与することができるとしている。

実施期間は2018年3月1日~2020年2月28日まで。ダルムシュタット工科大学、ブラウンシュヴァイク工科大学、シュツットガルト大学、アーヘン工科大(RWTH)の4大学が協力して実施した。

熱効率とは、投入したエネルギー(燃料)からどのくらい動力を取り出すことができるか(変換効率)を示す割合。当該プロジェクトによると、新しい燃費・排ガス試験方法(WLTP)では現在、平均的な熱効率は約30%、最高でも約37%であるという。当該プロジェクトでは、平均的な熱効率で約40%、一時的な熱効率では50%の達成を目標とした。

具体的には、圧縮比や水噴射(燃焼室内に水を噴射する)、排気ガスの再循環、バルブタイミングの調整など、様々な技術を組み合わせ、システム効率への影響を調査した。また、さまざまな車両クラスやハイブリッド車の種類(48ボルトから高電圧のハイブリッド駆動まで)について調査を実施した。試験方法は、シミュレーションと研究用の単気筒エンジンを使用している。

独技術情報サイト『シュプリンガープロフェッショナル』によると、当該プロジェクトでは、シミュレーション試験と研究用の単気筒エンジンのいずれにおいても熱効率が40%を超えた。プロジェクトで開発した高効率のエンジンを使用した中型クラスのハイブリッド車では、熱効率が42%となった。再生可能エネルギー由来の人工燃料であるエタノールを使用した場合、熱効率は46%に向上するという。リーンバーン(希薄燃焼)技術を活用すると、熱効率はさらに2~3パーセントポイント向上することが分かった。

FVVは当該プロジェクトの実施について、2050年にどの駆動技術、エネルギー源、輸送コンセプトが旅客輸送や貨物輸送の主流となっているかは現時点ではまだ分からない状況にあると指摘。短期、中期的にはエネルギー効率の高いハイブリッド車とカーボンニュートラルな燃料が移動(モビリティ)における気候中立に効果的に寄与していく必要があるとの考えを示している。

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