FCAとPSAの経営統合、欧州委が条件付きで承認

欧州委員会は12月21日、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏グループPSAの経営統合計画を条件付きで承認したと発表した。両社はPSAがトヨタとの小型商用車生産での提携を拡大し、トヨタへの供給量を増やすことなどを求められる。

両社は2019年12月、経営統合することで正式合意した。誕生する新会社「ステランティス」は独フォルクスワーゲン、日産・仏ルノー・三菱自連合、トヨタに次ぐ世界4位の自動車グループとなり、自動車業界の勢力図を塗り替える。

統合計画は米国、日本、中国、ロシアの独禁当局が承認済み。しかし、欧州では両社の事業が大きく重複することから、EUが難色を示し、初期調査での承認を見送り、6月から本格的な調査を進めていた。

FCAとPSAが欧州の小型商用車市場で合わせて約3割のシェアを持っており、統合が実現するとライバルのルノー、フォードを大きく引き離して圧倒的な首位に立つ。欧州委は両社が欧州の同市場で競合関係にあり、統合によってフランス、イタリア、ベルギーなどEU9カ国で健全な競争が損なわれるとしていた。

これに対してFCAとPSAは、PSAがライバルのトヨタと結んでいるEUを主な対象とする小型商用車生産での提携について、トヨタへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給を拡大すると同時に、提供する車両、部品の価格を引き下げることを提案。また、両社が小型商用車の修理・整備ネットワークで、他社の車両へのサービスも受け入れることを申し出た。

欧州委は同措置によって競争上の懸念が払しょくされるとして、その実施を条件に統合を承認した。

統合計画は1月4日に両社が開いた株主総会で承認され、実現が決まった。3月末までに統合が完了する見通しだ。

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