ZEDU-1

ブレーキやタイヤの摩耗によって排出される微粒子やマイクロプラスチックを可能な限り削減する研究に取り組むドイツのプロジェクト。ドイツ航空宇宙センター(DLR)の車両コンセプト研究所、エンジニアリング会社のHWA、表面加工を得意とするラングレットが参加している。また、バーデン・ヴュルテンベルク州経済労働住宅省は同プロジェクトに総額600万ユーロを支援している。

タイヤの摩耗によって路上で発生するマイクロプラスチックは、雨が降ると、排水システムに入り、水循環系の汚染要因の一つになる。DLRによると、ドイツだけでも年約11万トンが発生している。また、ブレーキディスクとブレーキパッドの摩耗により発生する超微粒子は、人の呼吸器系の奥深くに入り留まる可能性があり、健康を害する恐れがある。

当該プロジェクトでは、粒子を排出しないブレーキシステムの開発とタイヤの摩耗によって発生する物質の収集に重点を置いている。タイヤの摩耗による排出物は最大90%削減する目標を掲げている。

具体的には、ブレーキをホイールからはずして駆動ユニットに統合することにより、極めてコンパクトな構造とする。また、特別に開発した高性能の電子機器により、ブレーキエネルギーをほぼ完全に回生することができる。

また、ブレーキの摩耗を回避するため、さまざまなブレーキシステムを研究し、組み合わせている。一つは、特殊な種類のディスクブレーキで、クローズドシステムとして機械的に作動する仕組み。ブレーキパッドはオイルバスに格納されているため、ブレーキの摩耗によって発生する物資はオイルに付着する。オイルは常にフィルターを通り、洗浄される仕組み。もう一つのアプローチは、磁場の力を使用してブレーキ効果を生成する方法で、摩耗が起こらない。さらに、特殊な設計のホイールアーチにより、走行中に負圧を発生させ、粒子状物質が特定の場所に集まるようにする。集まった粒子状物質は、掃除機のようにフィルターシステムで吸収する仕組みとする。

走行試験では、最新の測定技術や測定車両を持つDLRの燃焼技術研究所と協力し、粒子状物質の総量や粒子のサイズ分布などを分析する。

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