ハンガリーがロシアから新型コロナワクチン「スプートニクV」を200万回分調達す
る。欧州連合(EU)加盟国が同ワクチンを購入するのはこれが初めて。スプートニ
クVはEUでは承認されていないが、ハンガリーは国内の医薬品当局の緊急承認を経
て接種に踏み切る意向だ。
ペーテル・シーヤールト外務貿易相は22日、訪問中のモスクワで、ロシア直接投資
基金(RDIF)と購入契約を取り交わしたと発表した。200万回分を3回に分けて調達
する。来月に60万回分、3月に100万回分、4月に40万回分を受け取る予定だ。具体
的な接種日程については明らかにされていない。
ハンガリーは今月半ば、中国・国薬控股(シノファーム)とも大規模調達で契約を
結んだ。初回供給量は100万回分と発表されている。
欧州医薬品庁(EMA)の規定によると、加盟国当局は緊急の場合、独自にワクチン
使用を許可できる。ハンガリーは英アストラゼネカ製のワクチンについても、すで
に承認を決めている。一方、中国から調達するワクチンは未承認だ。
EUのワクチン調達は、ファイザー・ビオンテック連合が増産に向けた生産調整を理
由に供給量を削減したことで遅れが生じている。オルバン首相はこの事実を無視し
てEU当局を一方的に批判し、中国・ロシアからのワクチン購入に踏み切った。
ただ、国民のワクチンに対する懸念は強く、最新のユーロバロメーター(世論調
査)によると、接種を受けるつもりの人は49%にとどまっている。ロシア、中国の
ワクチンに限って聞いた他の調査によると、ロシア製ワクチンについては「接種
派」が7%、中国製では1%と極端に少ない。