自動車部品大手の独ボッシュは4日の決算記者会見で、欧州連合(EU)が導入を検討している自動車の次期排ガス規制「ユーロ7」に懸念を表明した。内燃機関車の実質的な禁止命令になる恐れがあるためで、フォルクマル・デナー社長は「ユーロ7が本当にエンジンの終焉につながるのであれば問題だ」と述べた。同社は電動車や自動運転など次世代技術の分野で世界をリードする主要なサプライヤーであるものの、エンジン向け部品・システム事業の規模は依然として大きいことから、大規模な人員削減を余儀なくされる可能性もある。
デナー社長はEUが検討している規制の具体的な問題点として、有害物質の排出許容上限を現在の計測技術ではとらえられない極めて低い水準に設定しようとしていることを挙げた。そうした規制であれば、製品開発自体を行えなくなるとしている。
コールドスタートや、重荷を積んだ山道の走行など難しい状況下でも有害物質の排出量を例外なく低く抑えなければならないという規制の方向についても、理解できないと首を横に振った。
エンジン向けの開発は今後も続ける意向だ。モビリティ部門の統括責任者であるシュテファン・ハルトゥング氏は「エンジンはつねに最新の技術であり続けなければならない。10年先であっても。我々は(自動車メーカーの工場から)最後のエンジンが出荷されるまでそうする」と明言した。
ボッシュが同日発表した2020年12月期の売上高は716億ユーロで、前期を6.1%下回った。コロナ禍で需要が減少したことが反映された格好。営業利益(EBIT)は32億ユーロから19億ユーロへと41%減少しており、売上高営業利益率は4.2%から2.5%へと低下した。
売上高を部門別でみると、主力の自動車部品は9.5%減の423億ユーロと大きく落ち込んだ。世界の自動車生産台数が15%減少したことが響いた。消費者向け製品部門は巣ごもり消費が追い風となり5.2%増の186億ユーロに拡大した。