ロシア産天然ガスをトルコ経由で欧州に運ぶパイプライン「トルコ・ストリーム」を西欧方面に延伸する「バルカン・ストリーム」のセルビア区間が稼働し、1月1日からトルコ・ストリームを経由したロシア産ガスの輸送が正式に始まった。セルビアにとってはガス調達価格の低下や輸送料収入といった金銭的利益に加え、輸入経路多様化による調達安定化というエネルギー政策的な利益もある。
開通したのは、ブルガリア国境のザエチャルとハンガリー国境のホルゴシュを結ぶ全長403キロの輸送管で、ブルガリアを経由してトルコ・ストリームで運ばれるガスを受け取ることができる。輸送方向の切り替えが可能で、ハンガリー方面からガスを調達することもできるようになる。
開通式に出席したアレクサンダル・ブチッチ大統領によると、新パイプライン経由の天然ガス調達価格は従来を大きく下回る。また、輸送料収入は工事費用の返済に役立つ。
セルビア・ガスのドゥシャン・バヤトヴィッチ最高経営責任者(CEO)によると、現時点ですでに年間600万立方メートルの天然ガスを輸入できるという。
トルコ・ストリームは、ロシアから黒海を経由して欧州側のトルコ沿岸に至る海底ルートと、上陸地点から近隣諸国の国境までを結ぶ陸上ルートから成る。輸送管はトルコ国内顧客用とブルガリア・セルビア経由での欧州顧客用の2本で、輸送能力は各157億5,000万立方メートル。