仏スエズがヴェオリアのTOB拒否、交渉による解決模索

水・廃棄物処理大手の仏スエズは2月26日、同日開いた取締役会で、仏同業ヴェオリアによるTOB(株式公開買い付け)に反対する方針を全会一致で決議したと発表した。スエズに対しては米仏の投資会社2社も買収案を提示しており、スエズはヴェオリアの敵対的アプローチを拒否した上で、交渉による解決を目指す意向を示している。

スエズとヴェオリアは上下水道の運営や廃棄物処理などの事業を世界的に展開している。19世紀からライバル関係にある両社の統合が実現すると、売上高が400億ユーロを超える環境サービス分野で世界有数の巨大企業が誕生する。

ヴェオリアは2020年10月、仏エネルギー大手エンジーが保有するスエズの株式29.9%を34億ユーロで取得し、筆頭株主となった。その後、くり返し買収を申し入れたが、スエズ経営陣は一貫してヴェオリアの提案を拒否。膠着状態が続く中、1月にはプライベートエクイティー(PE)投資会社の仏アルディアンと米グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズが113億ユーロの買収案を提示し、スエズの取締役会は全会一致で支持を表明した。

局面が大きく変わったことで、ヴェオリアは2月7日、未保有株の取得に向けてTOBを開始した。PE2社と同様にスエズの企業価値を113億ユーロと評価し、残り株式を1株当たり18ユーロで買い取るという内容。ヴェオリアはスエズとの統合で急速に勢力を拡大する中国勢に対抗するための事業規模を確保し、環境に配慮したリサイクル分野で主導権を握ることができると説明している。

スエズは声明で、ヴェオリアの申し出はスエズの解体につながるもので、イノベーションなどの領域で利益をもたらさず、雇用保証も期間が限られており満足できる内容ではないと指摘。金額面でもスエズが生み出す価値を反映していないとつけ加えた。フィリップ・ヴァラン会長はそのうえで、金額面や雇用面など条件が合えば話し合いに応じる姿勢を示した。

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