英政府は11日、欧州連合(EU)から輸入する製品に対する完全な税関検査の実施を6カ月延期すると発表した。輸入事業者が対応できないことなどを考慮したもので、2022年1月まで先送りする。
英国はEU離脱の移行期間が終了した1月以降も、EU製品への税関検査実施を食品については4月1日、他の製品は7月1日まで延期することを決めていた。しかし、事業者が当局の検査体制が十分に整備されていないため対応できないと悲鳴を上げていることから、それぞれ6カ月先送りし、完全検査の開始日を22年1月に延期する。事業者がコロナ禍で厳しい状況にあることも考慮した。
EU側は移行期間終了と同時に、英国製品への検査を予定通り実施している。英政府の今回の決定により、EU製品の英国への輸出が当面、円滑に進むのに対して、英国の輸出事業者は厳しい手続きが必要となり、不利となる。
英政府は3月初め、離脱後もEU単一市場と関税同盟に事実上残ることになった北アイルランドに英本土から入る食品と農産物の通関・検疫規制の猶予期間を6カ月延長すると発表した。これについてEU側は、離脱協定に反する一方的な決定として猛反発し、法的措置に乗り出す構えを示しているが、今回の措置に関しては英国に決定権があるとして問題視していない。