ワクチンの予備生産能力確保へ、再接種と新たな感染症流行に備え

ドイツ政府がワクチン生産の予備能力確保に向けて製薬会社、欧州連合(EU)と協議している。新設されたワクチン生産特別委員会のクリストフ・クルップ委員長が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにしたもので、ワクチン不足の発生を将来的に防ぐ狙いがある。

新型コロナウイルス用ワクチンの主要生産国である米国は現在、自国民への接種を優先し、輸出を制限している。また、英国はEUからワクチンを輸入する一方で自国製品の輸出を行っていない。こうした「ワクチンナショナリズム」がEUのワクチン不足の一因となっていることから、ドイツ政府はそうした事態が将来、起きないようEU域内に十分な規模の生産能力を確保する考えだ。

新型コロナのワクチンは接種後、一定期間が経過すると効果が弱まると予想されることから、定期的な再接種が必要になるとみられている。また、新型コロナのパンデミック化を受け、新たな感染症が世界的に大流行する可能性が排除できなくなっている。

政府はこうした事情を踏まえワクチン生産能力を確保するための準備に乗り出した。予備生産能力を提供する製薬会社に協力金を支給する考えだ。送電網の電力需給を安定させるための「予備電源」の提供者に協力金を支給するルールを参考にする。

生産能力は四半期当たり5億回分とする。これは全EU市民が少なくとも1回の接種を受けられる規模に当たり、年ベースでは20億回分となる。

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