ドイツ連邦統計局が24日発表した2020年の実質賃金指数(確定値)は前年を1.1%下回った。同指数が低下するのは統計を開始した07年以降で初めて。コロナ禍の影響で操業短縮の対象となる被用者が急増したことが響いた格好だ。
実質賃金は名目賃金から消費者物価の上昇(インフレ)で目減りした分を引いた賃金。昨年は名目賃金が0.7%低下したうえ、インフレ率が0.5%に上ったことから実質賃金が1.1%落ち込んだ。
操短の対象となった被用者は操短に伴う賃金の減少分の最低60%に相当する額を手当として国から受け取ることができる。同手当は実働に伴い支給される賃金ではないことから、操短が増えれば増えるほど、賃金は減ることになる。
昨年は週の平均実働時間が2.9%減少した。減少幅が最も大きかったのは宿泊・飲食業で19.4%に上った。これに芸術・娯楽・余暇が9.0%で続いた。ともにコロナ禍の影響をもろに受ける業界だ。減少幅が最も小さかったのはエネルギーと金融・保険業界で、ともに0.4%だった。実働時間が増加した業界はない。
名目賃金を雇用形態別でみると、ミニジョブ(月収450ユーロ以下)は1.5%減と大きく縮小。フルタイムの正社員も1.0%減少した。パートタイムの正社員は0.6%増えている。
職位・職能別では、熟練被用者が2.5%減、非熟練被用者が1.6%減、専門職が1.2%減と大きく低下。高度の専門職は0.2%減と減少幅が小さく、管理職は0.2%増加した。
性別では男性が1.4%減少したのに対し、女性は0.3%増加した。地域別では西部地区が1.0%減、東部地区が0.9%増だった。
実質賃金を四半期ベースでみると、4-6月期は前年同期比4.7%減と大幅に後退。7-9月期も1.3%落ち込んだ。1-3月期と10-12月期はともに0.4%の幅で増えた。