ロシアの大手企業で作る人工知能(AI)アライアンスは先月末、モスクワで会合を開き、AI技術の振興に向けた指針を決定した。開発者と投資者のマッチングを可能とするほか、産業界や一般社会の注目を高めるイベントを実行に移す方向だ。
具体的にはまず、様々なプロジェクト、アイデアを束ねる投資プラットフォーム「AIハブ」を設置する。将来性のある発想やプロジェクトを、会員企業のノウハウや資金で実現できるようにする目的で、開発チームと、潜在顧客・投資家との間を仲立ちする役割が期待される。国外からプラットフォームにアクセスすることもできるようにする。
次に、学校と提携し、生徒の知識・技能・ノウハウ習得をサポートする。会員であるズベルによると、今年は500校にAIシミュレーター及びモジュールを装備するという。
また、国際青少年AIコンテストを開催する。50カ国から応募されたアイデアを吟味し、年末、優秀なプロジェクトに賞を授与する予定だ。AIへの関心を高め、若い才能を伸ばす狙いだ。
さらに優れたAIベースのプロジェクトを評価する「AIロシア賞」を創設し、来月27日に第1回の受賞式を実施する。「経費削減」、「生産効率向上」、「品質改善」、「重要な社会的インパクト」といった具体的効果に着目して評価する。
今後、ロシア及び外国のデータセットを納めたオープンライブラリを開設することも計画されている。
AIアライアンスは2019年11月、プーチン大統領が「国家AI開発戦略10カ年計画」を発表したのを受けて結成された。発足時の会員は、国営金融大手のズベルバンク(現ズベル)、インターネット大手のヤンデックスとメール・ル、移動通信事業者MTS、石油大手ガスプロムネフチの5社と、直接投資基金(RDIF)だった。