ヴィルヘルムスハーフェン港を独の水素ハブに、国内需要の10%

エネルギー大手の独ユニパーは14日、ヴィルヘルムスハーフェン港にドイツのグリーン水素ハブを構築する計画を明らかにした。経済脱炭素化のカギを握るグリーン水素は今後、需要の大幅拡大が予想されることから、輸入から生産、輸送、投入までの幅広い分野のプロジェクトを同港で実施する意向だ。実現可能性調査を実施したうえで、2020年代後半のスタートを予定している。欧州連合(EU)の「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みでドイツ政府から補助金を受ける計画。

「グリーン・ヴィルヘルムスハーフェン」という名のハブを構築する。グリーンなアンモニアを輸入。ターミナルに設置するアンモニア分解装置で水素を取り出す。また、410メガワット(MW)級の巨大な電解槽を設置し、再生エネと水で水素を製造する。

アンモニアの分解と電解槽で作る水素の量は合わせて約29万5,000トンで、30年の国内需要のおよそ10%に当たる。水素は現地の需要家のほか、パイプラインを通して全国に供給する。

水素を還元剤とする直接還元鉄プラントを設置することも、鉄鋼大手のザルツギターなどと共同で計画している。年およそ2万トンのグリーン銑鉄を製造する目標だ。

ドイツの水素需要は30年に年90~110テラワット時(TWh)に達すると予想されている。国内生産はそのうち14TWhにとどまると見込まれることから、輸入に大きく依存する見通しで、港湾は重要な役割を果たすことになる。

ユニパーはヴィルヘルムスハーフェン港に昨年秋まで、洋上液化天然ガス(LNG)受入基地を設置する計画だったが、LNG受入基地から輸送する天然ガスの顧客を募ったところ、関心を示す企業は多かったものの、拘束力のある予約を行う企業は少なかったことから計画を変更。今回のプロジェクトを打ち出した。

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