樹木の伐採量が記録更新、干ばつ続きで害虫被害が急増

ドイツ連邦統計局が15日発表した同国の2020年の樹木伐採量は前年比16.8%増の8,040立方メートルとなり、前年に引き続き過去最高を更新した。18年から続く干ばつで、樹木が弱り害虫被害が急増していることが背景にある。

森林被害を受けて伐採した量は前年比30.0%増の6,010万立方メートルに達した。17年(1,230万立方メートル)の5倍に上る。

害虫被害で伐採した量は36.6%増の4,330万立方メートルで、森林被害による伐採全体の72.0%を占めた。10年から17年にかけては90万~600万立方メートルの範囲で推移していた。

伐採量が増えた樹木の種類はトウヒ・モミ・アメリカトガサワラ・その他の針葉樹で、30.1%増の6,220万立方メートルに上った。伐採した樹木全体に占める割合は77.3%に達する。10年から17年にかけては伐採量が2,520万~3,040万ユーロで推移していた。

20年の広葉樹の伐採量は1,020万立方メートルで、前年を12.9%下回った。マツ・カラマツも13.7%減の800万立方メートルへと縮小している。

同国の森林面積は1,140万ヘクタールで、国土の約3分の1を占める。その大部分は針葉樹で、トウヒの割合は25%、松は同21%に上る。ドイツの森は特定の種類の針葉樹からなるモノカルチャーな構成となっている。

トウヒは根が浅いことから、雨が少ないと十分な量の水分を確保できず、立ち枯れしたり、キクイムシの被害を受けたりしやすくなる。このため、トウヒのモノカルチャーの森は干ばつが起こると、全滅しやすい。他の針葉樹でもモノカルチャーの森は温暖化に伴うリスクが大きい。

一方、様々な種類の樹木からなる混合樹林は、それぞれの地質や地形、気候に適している限り、水分や光、栄養を森全体でバランス良く確保できることから、温暖化への対応力が高い。政府はこれを踏まえ19年、国内の針葉樹林を針葉樹と広葉樹からなる混合樹林へと転換していく方針を打ち出した。

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