新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためにチェコ国境で実施してきた入国検査を終了するとしたホルスト・ゼーホーファー独内相の声明が市民の混乱を引き起こしている。発言の趣旨が十分に理解されなかったためだ。国境の小都市ゼルプで検査を統括する独連邦警察の担当者は地元メディアに、国境地点での24時間体制の検査は止めたが、国境地帯で抜き打ち的に車を止めて行う検査は継続していることを指摘。不要不急の出入国は依然として禁じられているとして、買い物や給油目的でチェコに出向かないよう注意を促した。抜き打ち検査で違法な出入国が発覚すると罰金を科される。
チェコは新型コロナの新規感染者数が極めて多かったことから、ドイツ政府は同国国境での入国検査を2月15日に開始した。感染者数が以前に比べて減ったことから、国境検査を13日いっぱいで検査を終了した。
ゼーホーファー内相は同日付のプレスリリースで、「チェコでの感染者数が減少したことを踏まえ、我が国は国境検査を終了し、強度を高めた覆面捜査に切り替える」ことを明らかにした。この声明の「強度を高めた覆面捜査」の意味を理解しない市民が多かったことから、国境地域で混乱が起きた。チェコの感染者数は減少したとはいえ依然として高水準にあり、ドイツは同国の「高感染数地域」指定を解除していない。