ドイツ政府は27日の閣議で、貿易政令改正案を了承した。欧州連合(EU)への域外からの直接投資の審査枠組みを定めた指令を踏まえたもので、人工知能(AI)、自動運転、半導体、オプトエレクトロニクス、量子コンピューターなど将来性の高い技術を持つドイツ企業に20%以上、出資することを計画するEU域外の企業に申告を義務付ける。改正案は数日以内に施行される。その後、連邦議会と連邦参議院に送付。連邦議会は4カ月以内に改正規則を破棄できる。
貿易政令ではインフラ、防衛分野の国内企業に10%以上の出資を計画する外資に申告を義務付けている。AIなどハイテク分野の企業にはスタートアップが多いことから、申告義務の対象となる出資比率ラインを20%とやや高く設定することで、投資資金の調達に支障が出ないよう配慮した。
政府は声明で「外国直接投資はドイツの経済発展に大きな意味を持っている。同時にグローバルな地経学的競争は強まり続けている。具体的な投資計画が広範囲の政治戦略的な利害を目的とするケースがますます頻繁になっている」と指摘。効率的な投資審査手段を導入することで安全保障上の利害を守ることができるとの認識を示した。具体的な国名は挙げていないものの、特に中国を警戒している。