ポーランドとウクライナが、既存パイプラインを用いて中東欧地域に水素を供給する共同プロジェクトについて交渉しているもようだ。欧州連合(EU)の政策で「クリーン燃料」の需要が増加していることに加え、ロシア産天然ガス輸送からの収入減が見込まれるウクライナが、代替産業の育成を模索していることが背景にある。
EUの東方パートナーシップ・イニシアチブ(EaP)の一環として22日に開催されたワークショップ「水素・グリーンガスへの移行」には、ポーランドから送ガスのガズ・システム、石油会社のロトス、PGNiGら大手企業の代表が参加した。EaPでは年内に水素、再生可能エネルギー由来ガス、バイオメタンに焦点を合わせたワークショップを開催する予定だ。これについて、ウクライナ・エネルギー省のヴィタリ・クシュニロフ戦略開発投資政策副部長は「水素市場の整備や、関連技術開発を支える資金の調達について話し合うのが目的」と話した。また、「ウクライナの送ガスシステムを水素輸送に活用できるかどうか調査中」であることも明らかにした。
ウクライナは太陽光・風力発電で得られたエネルギーで「グリーン水素」を作り、欧州にも輸出する戦略を練っている。ロシアが欧州への資源輸出でウクライナをう回する輸送路整備を進め、重要な政府収入源であるロシア産天然ガスの輸送料が当てにできなくなっているためだ。グリーン資源の取引には、EUとの距離を縮め、ロシアへの依存を弱める狙いがあるとみられる。