EUのワクチン証明書制度、夏前に運用開始=欧州委副委員長

欧州連合(EU)諸国で新型コロナウイルス感染拡大防止策として実施しているロックダウン(都市封鎖)など行動制限の緩和が進む中、ワクチン接種証明書を活用した旅行制限緩和への期待が高まっている。欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長は11日、同証明書の運用を夏前に開始できるとの見通しを示した。

欧州委はコロナ禍で大きな打撃を受けている域内観光業の復興を主眼に、域内間の旅行の制限を緩和する方針。「デジタル・グリーン証明書」と呼ばれる共通証明書を新型コロナワクチン接種者とPCR検査で陰性の人、コロナに感染して回復した人に発行し、これを取得した人が、域内を自由に移動できるようにする制度の導入を計画している。

同制度は加盟国が原則合意しており、欧州議会の承認を経て実現する。10日には2週間にわたる試験運用が一部の加盟国で開始された。シェフチョビッチ副委員長は同問題に関する加盟国の欧州担当相との協議を終えた後に記者団に対して、夏の観光シーズンが始まる前に本格的な運用を開始できると「確信している」と述べた。

ただ、同制度をめぐっては、欧州委案では加盟国間でコロナ関連規制にばらつきがあることから、証明書保持者も入国時にPCR検査を受け、一定期間隔離するかどうかを各国の判断に委ねることになっているのに対して、欧州議会は無制限での入国を認めるよう求めるなど制度設計に関して溝があり、調整が必要となる。

上部へスクロール