英中銀が社債購入で気候変動リスク考慮へ、「実質ゼロ」に向け枠組み見直し

英中央銀行のイングランド銀行は21日、金融緩和策の一環として実施している社債の買い入れに際し、対象となる企業の気候変動リスクを考慮する方針を打ち出した。イングランド銀は物価安定目標の達成に加え、温室効果ガス排出量の「実質ゼロ」への移行も政策運営の新たな使命として担っており、これに合致するよう、気候変動への取り組みなどに応じて社債購入の配分を決定する。今後詳細を固め、年内の実施を目指す。

イングランド銀は英国のEU離脱が決まった国民投票後の2016年8月に社債の買い入れを開始し、現在の買い入れ枠は200億ポンド(約3兆800億円)。

計画によると、イングランド銀は保有する社債について、発行企業全体が排出する温室効果ガスの目標を設定。買い入れの条件として各企業に排出量の公表を義務付ける。排出量が多い企業は削減計画の策定が求められ、対応できない場合は購入対象から除外される可能性がある。ただし、電力会社や石油会社など排出量が多い企業の社債を直ちに売却することはせず、中長期の削減見通しを重視すると説明している。

ハウザー市場担当理事は高排出企業の社債の扱いについて「売却は強力な手段であり重要な選択肢だが、安易な解決策とせず、削減の取り組みや環境投資を促すべきだ」と強調した。

英国は温室効果ガス排出量を50年までに実質ゼロにする目標を掲げている。スナク財務相は3月、イングランド銀の金融政策運営上の役割に実質ゼロへの移行を追加すると発表した。気候変動対策が正式に追加されたのは主要銀行では初めて。イングランド銀はこれを受け、社債買い入れの枠組みについて見直しを進めていた。

上部へスクロール