日・EU首脳が台湾問題について協議、気候変動対策で「同盟」立ち上げへ

日本と欧州連合(EU)は5月27日、テレビ会議方式で定期首脳会議を開き、中国による東シナ海などでの一方的な現状変更の試みに強く反対していくことを確認した。双方は台湾海峡の平和と安定が重要との認識で一致。さらに海洋進出を強引に進める中国を念頭に、EU内でインド太平洋地域への関心が強まっていることを踏まえ、同地域でのEUの影響力拡大に向けて協力することを確認した。

菅義偉首相はEUのミシェル大統領、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と、就任後初の首脳会議に臨んだ。協議では対中国政策について意見が交わされ、共同声明で初めて台湾問題に言及した。また、香港や新疆ウイグル自治区の人権問題や、ベラルーシやウクライナ、ミャンマーなどの情勢についても協議。各地域における中国やロシアの関与などについて引き続き意見交換することを確認した。

一方、気候変動をめぐり、日本とEUの連携を深めるため「グリーン・アライアンス」を立ち上げることで合意した。脱炭素化の取り組みを日欧が主導し、再生可能エネルギーなど先端技術の開発や、アジアなどの途上国支援などで協力体制を強化する。フォンデアライエン氏は記者会見で「日本との間で初の同盟を立ち上げる」と強調。米国などにも参加を呼びかけたい考えを示した。

また、フォンデアライエン氏は新型コロナウイルス対策に関連して、EUが日本向けに1億回分以上のワクチン輸出を許可したことを明らかにした。同氏は「東京オリンピック・パラリンピックの安全な実施に向けた支援の表れだ」と強調し、「大会開催を楽しみにしている」と述べた。

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