EUと英、共同管理漁業資源の漁獲制限で合意

EUは2日、英国政府と双方の領海にまたがる水域で共同管理する漁業資源の2021年の漁獲制限について合意した。漁業権をめぐる合意は、2020年1月末にEUを離脱した英国と「貿易連携協定(TCA)」と呼ばれる自由貿易協定を締結してから初となる。

合意したのは、水産資源を持続的に利用できるようにするため、魚種ごとに漁獲できる総量を設定し、管理する漁獲可能量(TAC)制度に基づく21年の漁獲量。75種が対象だ。

EUは通常、域外諸国と毎年のTACを前年末までに取り決める。しかし、英国との21年のTACに関する協議は、前提となる自由貿易協定の締結が20年12月24日にずれ込んだため、1月にようやく始まった。このため、20年の合意内容を暫定的に適用しながら、交渉を進めていた。

EUと英国の自由貿易協定締結交渉では、漁業権をめぐる問題が大きな対立点となった。英国側がEU離脱による主権回復の象徴として、同国の排他的経済水域(EEZ)を同国が完全に管理し、EU漁船を締め出そうとしたことにフランスなどEUの沿岸国が猛反発したためだ。

最終的に21年から5年半の移行期間を設け、同期間中にEU漁船の英領海内での漁獲高(金額ベース)を段階的に25%削減することが決まった。移行期間終了後は毎年の交渉で漁獲高を決めることになっている。

TAC をめぐる交渉でEU側の代表を務めた欧州委員会のシンケビチュウス委員(環境・海洋・漁業担当)は声明で、今回の合意について「(英国との)今後の漁業分野での協力継続に向けた堅固な土台が築かれた」と評価した。

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