リチウム採掘・生産でのリスク回避へ、VWなど4社がチリでイニシアチブ

自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)、ダイムラー、化学大手のBASF、環境負荷の少ないスマホ設計・製造を手がけるフェアフォーンの4社は8日、リチウムなどの採掘・生産に伴い発生する環境、人権リスクを回避するための取り組みをチリのアタカマ塩原で開始したと発表した。電動車市場の拡大やデジタル化の進展を受け電池需要が今後、大幅に増えると、電池の主要原料であるリチウムの乱開発が行われ、現地の環境や生活基盤が破壊される懸念があることから、科学的なデータに基づく全ステークホルダーの対話を促進し、持続可能な開発を実現できるようにする狙いだ。

アタカマ塩原は長さ100キロ、幅80キロの巨大な塩類平原。リチウム埋蔵量が全世界の27%と多いことから、注目を浴びている。

4社は同塩原の乱開発を避けるため、「責任あるリチウム・パートナーシップ」というイニシアチブを今春、立ち上げた。現地住民グループや国家機関、鉱山会社などすべてのステークホルダー間の対話の促進を政府系のドイツ国際協力会社(GIZ)に委託。同塩原の現状を客観的に把握したうえで、取水地域の将来構想と資源管理の長期行動プランを作成し、実行に移す。

責任あるリチウム・パートナーシップはこれに要する資金を提供する。期間は2年半。4社は声明で「バリューチェーンが強度にネットワーク化された現在、責任ある企業の行動は取引先との協業だけでなく、政府・市民社会との建設的な取り組みにも基づいている」との立場を表明した。

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