●プラハのGNSS運営庁がEUSPAに拡大
●「欧州宇宙分野のシリコンバレー」に成長と期待
チェコが欧州宇宙産業の中心地に成長すると期待が高まっている。プラハにあるGNSS(欧州衛星測位システム)運営庁(GSA)が5月12日、欧州連合宇宙計画庁(EUSPA)へと拡大強化されたためだ。大学などの研究機関や業界企業の欧州宇宙計画への参加が進み、国の技術力向上につながるとみられている。
EUSPAは欧州連合(EU)の宇宙計画の運営を担う機関で、技術面を担当するパリの欧州宇宙機関(ESA)と緊密に提携していく。具体的には、衛星測位システム「ガリレオ」と航空用衛星航法補強システム「EGNOS」、地表観測プログラム「コペルニクス計画」、政府衛星通信「GOVSATCOM」、地球軌道・周辺の監視システムなどが対象だ。職員数は最高で700人まで増える見通し。
チェコはチェコスロバキア時代の1979年に、米国、ソ連に次いで宇宙飛行士を送り出した3番目の国となった。その宇宙飛行士、ヴラディミール・レメクは2004~13年に欧州議員を務め、GSAのプラハ招致に尽力した。
ヤン・ツェヒター(Sechter)副運輸相はEUSPAの立地がプラハとなったことについて、「今回の招致が成ったのは、宇宙産業・分野で活躍する企業や大学の存在があったからこそ」と話す。宇宙研究の成果をナビゲーションや地球観測、農業、森林被害の原因となるキクイムシ退治などに応用して実用化することが重要で、チェコが「欧州宇宙分野のシリコンバレー」に成長すると期待感を示している。これに向けて、チェコ政府も独自の宇宙機関を組織すべきと指摘する。