EUは10日開いた大使級会合で、中国で初めて確認された新型コロナウイルスの起源を解明するため、徹底した調査の実施を求めることで一致した。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は記者会見で、「調査担当者はパンデミックの起源を見つけるために必要なあらゆるものにアクセスする必要がある」と述べ、制約のない徹底した調査の必要性を訴えた。
新型コロナウイルスの起源をめぐっては、世界保健機関(WHO)が3月、2019年12月に最初の感染者が確認された中国湖北省武漢市で調査を実施。調査報告書は中国が発生源となった可能性を排除せず、ウイルスがコウモリから別の動物を介してヒトに感染した可能性が高いと発表した。しかし、欧米を中心にWHOの調査は不十分だとの声が根強く、バイデン米大統領は5月末、ウイルスの起源について情報当局に追加調査を指示した。
フォンデアライエン氏は「世界は今回のパンデミックから教訓を得るため、何が起きたのかを正確に知る権利がある」と強調。ミシェル大統領も「真実を追求するあらゆる取り組みを支持する」と表明した。
15日にはブリュッセルでEU米間の首脳会議が予定されており、双方は新型コロナウイルスの起源を解明するための新たな取り組みを呼びかける方針。ロイター通信などが入手した声明文の草案は「新型コロナの起源について、透明性のある、証拠に基づいたWHO主導の専門家による新たな調査を、干渉を受けずに進めることを求める」としている。