9月の連邦議会選挙で初の第一党となることを目指す緑の党は11~13日にバーチャル方式で党大会を開き、アンナレーナ・ベアボック共同党首を首相候補に任命した。98.6%が支持票を投じており、党内の基盤は万全だ。ただ、有権者の支持率はこのところ急送に落ち込んでおり、立て直しが求められる。
同党は4月19日の役員会でベアボック氏を首相候補に指名した。今回の党大会ではこれを承認。同氏は正式に首相候補となった。任命されるのは確実視されていたいが、支持票は極めて多く、党内の幅広い潮流から支持を取り付けた格好だ。
緑の党の有権者支持率はベアボック氏の首相候補指名後、大きく上昇した。世論調査機関ヴァーレンが公共放送ZDF向けに実施する定期アンケート調査(ポリトバロメーター)では、4月中旬の21%から5月上旬には26%へと5ポイント上昇。第一党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU、同25%)を抜き初めてトップに立った。5月中旬も首位を保った。
だが、今月10日に発表された最新調査では前回から3ポイント減の22%へと低下。CDU/CSU(4ポイント増の28%)に抜かれ2位へと転落した。
首相候補の決定直後に党の人気が急上昇することは珍しくない。変化を求める有権者の期待感が追い風になるためだ。2017年の前回選挙でも欧州議会のマルティン・シュルツ議長(当時)を首相候補に担ぎ出した社会民主党(SPD)の人気が一時的に急回復している。ただ、選挙戦は長距離走であることから、瞬間的な加速ではなく持続力が問われることになる。
ベアボック氏が連邦議会事務局に副収入報告を事後的に提出したことや、ホームページ上の経歴に誤りや偽りが多数、見つかったことは、大きな痛手となっている。首相候補ともなれば、あら探しの対象となるは自然であり、脇の甘さが露呈した格好だ。