基礎疾患の子供などに限り接種を勧告

独ロベルト・コッホ研究所(RKI)の予防接種常任委員会(STIKO)は10日、12~17歳を対象とする新型コロナウイルス用ワクチンの接種について勧告を発表した。独ビオンテックと米ファイザーが共同開発した製品「コミナティ」の接種対象年齢を欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)が12歳以上に引き下げたことを受け、独自の検討を行ってきた。STIKOは12~17歳が同ワクチンの接種を受けることを排除しないとしながらも、接種勧告の対象を基礎疾患のある子供などに限定。12歳以上への全面解禁を取り決めた連邦政府と州政府の合意に距離を置く判断を示した。

同国ではコロナワクチンの接種対象がこれまで16歳以上に制限されてきた。15歳未満に接種しても安全かどうかについてのデータがなかったためだ。だが、ビオンテックとファイザーが12~15歳を対象とする治験で100%の有効性と安全性が確認されたと4月末に発表したことから、カナダや米国では一足先に同年齢層の接種が解禁された。メルケル連邦首相と州首相はこうした動向を踏まえ先月27日、12~15歳の子供を接種対象に加えることを取り決めた。

一方STIKOのメンバーは、同年齢層を対象とする治験の参加者が少なく、正しいリスク評価を下せないとして、接種可能年齢を12歳に引き下げることに懐疑的な姿勢を示してきた。この姿勢は今回の勧告でも変わらず、接種勧告の対象を◇肥満や重症心不全、慢性腎不全など特定の基礎疾患を持つ◇家族や身の回りにワクチン接種を受けられない基礎疾患の持ち主やワクチンが十分な保護効果をもたらさない人がいる――12~17歳に制限している。

それ以外の同年齢層を勧告対象から除外した理由としてSTIKOのトーマス・メルテンス委員長は、(1)治験参加者が少ないため深刻な副反応のリスクを排除できない(2)17歳以下が感染しても重篤化するリスクが極めて低い――を挙げた。ドイツで新型コロナに感染して死亡した12~17歳はこれまでのところ、基礎疾患を持つ2人にとどまるという。

STIKOは勧告対象の子供を制限したものの、医師の説明、および本人・保護者の希望とリスク受け入れの意思表示がある場合は接種が可能だとしている。これにより国と州の合意に正面から異を唱えることを回避した格好だ。

STIKOの勧告に強制力はない。ニーダーザクセンなど一部の州では12歳以上の接種を7日時点で全面解禁している。

ドイツではワクチン接種の勧告対象がこれまでは16歳以上となっていた。今回の勧告では基礎疾患を持たない16~17歳を対象から除外している。

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