トルコ、グリーン水素の供給源の可能性=EBRD報告

●欧州向けパイプライン「南ガス回廊」の水素輸送転用も

●EBRDはトルコの天然資源省と水素の輸出促進に向けた検討開始

欧州復興開発銀行(EBRD)は14日、再生可能エネルギーから生産される「グリーン水素」がトルコの輸出増に貢献する可能性があるとの見通しを示した。トルコは太陽光および風力発電の開発を陸上と海上で急速に進めており、「グリーン水素」の生産能力強化が迅速に進むとの見立てだ。今後の需要増が見込まれる欧州と同国の間を結ぶ天然ガスパイプライン「南ガス回廊」の水素輸送への転用も検討されている。

EBRDで気候変動を担当するカラレット氏によると、現在世界全体で7,000万トンの水素が利用されているが、ほぼすべてが石炭など化石燃料から生産されている。しかし15年後には再可エネ由来のグリーン水素のみが利用されるようになるという。

同氏は欧州への水素の供給国としてトルコを有望視する。輸送ルートとしては「南ガス回廊」パイプラインまたはトルコの船舶による海上輸送を挙げた。同国は欧州の貿易相手国として第6位にあたり、輸出の半分以上が欧州向けとなっている。

EBRD現地事務所のオギュジョンキュル氏によると、トルコには現時点で水素に関する国家戦略が存在しないが、グリーン水素の今後10年間の輸出可能性は大きく、EBRDは同国のエネルギー・天然資源省と水素の輸出促進に向けた検討を始めている。すでにトルコ企業も水素の事業化に向けて動き出しているもようだ。

国際エネルギー機関(IEA)によると、水素の生産量は2050年までに5億2,800万トンまで増加する。利用用途としては海運、航空輸送、重工業などがある。IEAは最終エネルギー消費の7%が「グリーン水素」になるとしており、特に産業用の加熱燃料として用いられる見通しだ。

エネルギー関連のコンサルティング会社、ウッドマッケンジーはグリーン水素生産増の鍵となるものとして◇二酸化炭素(CO2)の排出ゼロ目標◇グリーン水素普及に向けた政策措置の導入◇商取引や金融取引における水素への関心の高まり◇グリーン水素の生産能力の強化◇エネルギーの貯蔵手段としての利用可能性の拡大――などを挙げている。

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