英JLR、「ディフェンダー」ベースにFCVを開発

英高級車メーカーのジャガーランドローバー(JLR)は15日、ランドローバーの新型「ディフェンダー」をベースに燃料電池車(FCV)モデルのプロトタイプを開発していると発表した。年内にテストを開始し、オフロード性能などを検証する。「プロジェクト・ゼウス」と呼ばれる同プロジェクトはJLRの脱炭素戦略の一環となる。

「プロジェクト・ゼウス」は政府系の「先端推進システム技術センター」(APC)から資金支援を受けており、英エンジニアリング企業のデルタ・モータースポーツや墺パワートレインエンジニアリング大手のAVL、自動車部品大手のマレリ、英国電池産業化センター(UKBIC)などが参加している。JLRはプロトタイプのテストを通して顧客が求める性能を満たすために必要な水素燃料パワートレインについての知見を深めていく。

JLRはFCVについて、電気自動車(EV)を補完するものと位置付けている。水素を燃料とするFCVはエネルギー密度が高く、EVに比べて燃料の充填時間が短いほか、寒冷時でも航続可能距離の減少を最小限にとどめられる。このため同社では、FCVの技術はより大型で長距離を移動する車両や、極端な気候条件下での走行に適しているとみる。

同社は2036年までに生産車の走行中の排出ガスをゼロにするとともに、39年までに事業全体やサプライチェーンまで含めて温室効果ガスの排出量をゼロにするという目標を掲げている。

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