ハンガリー中央銀行は22日、政策金利を0.3ポイント引き上げ、0.9%とすることを決定した。EU加盟国の中央銀行による利上げ実施は、新型コロナ危機が始まって以来、初めて。中銀は物価上昇と景気回復とを受けて金利見直しを予告していたが、上げ幅は市場の予想を上回った。
ハンガリーのインフレ率は4月、5月とも5.1%となり、中銀の上限目標値(4.0%)を上回った。これを受けて中銀は今年の予想インフレ見通しを従来の3.8~3.9%から4.1%に上方修正した。一方、経済成長見通しも4~6%から6.2%に引き上げた。2022年は5.5%、23年は3.5%と予測している。
ハンガリーの利上げは2011年12月以来。マトルチ総裁はオルバン首相の腹心として知られ、13年の就任以来、金利を段階的に5%から史上最低の0.6%まで引き下げた。しかし、物価上昇の加速で金融引き締め判断を余儀なくされた。
キャピタル・エコノミスクのアナリストであるリアム・ピーチ氏は「景気回復とインフレ率の上昇が加速するため、今年後半にさらなる利上げが見込まれる」としている。