仏が「シャンパン」表示めぐる露新法に反発、WTOに提訴も

ロシアで「シャンパン」と表示できるのを国産スパークリングワインに限定し、外国産はシャンパンと名乗ることを禁止する法律が施行され、シャンパンの本場であるフランスで大きな波紋を広げている。フランス政府は世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない構えだ。

フランスでは「原産地統制呼称(AOC)」と呼ばれる制度に基づき、シャンパーニュ地方で規定の製法によって生産されたスパークリングワインだけがシャンパンの呼称を使用できる。EUでも原産地名保護制度により、シャンパンの名称が保護されている。

しかし、ロシア政府は仏を含む外国産のスパークリングワインについて、本物のシャンパンであっても「シャンパン」と表示するのを禁止する法律を制定。プーチン大統領が2日に署名し、同日付で施行された。

このため、高級ブランド大手LVMHモエヘネシー・ルイ・ヴィトンの子会社で、「モエ・エ・シャンドン」、「ドン・ペリニヨン」などの高級シャンパンで知られるモエ・ヘネシーなどは、ロシアへの出荷を一時停止し、ラベル貼り替えに追われている。

フランスのルドリアン外相は国会で6日、同法令を不当と批判。ロシア政府との協議を通じた解決を目指すものの、それが不可能な場合はWTOに提訴する意向を表明した。EUもロシアの新法を問題視しており、欧州委員会の報道官は施行直前に「必要な措置を講じる」と警告していた。

フランスのシャンパンメーカーも反発しており、業界団体は加盟各社にロシアへの出荷を停止するよう呼びかけている。

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