●カメラ画像を脳の理解できる信号に変換し、物体の輪郭を提示
●2024年の臨床試験を予定、価格は10万米ドルの見込み
ロシアのハイテクパーク「スコルコボ」に入居する新興企業センサー・テック(Sensor-Tech)はこのほど、人工知能(AI)の助けを借りた人工眼「エルヴィス」のプロトタイプを開発した。カメラのとらえたイメージを脳の理解できる信号に変換し、頭に埋め込んだ電極を通して伝えることで、物体の輪郭をリアルタイムで把握できるという。2027年の実用化が計画されている。
「エルヴィス」はスマートカメラ、半導体、電極、ヘッドバンドのほか、ユーザーのベルトに固定する小型コンピューターから成る。全てオフラインで機能するのが特長だ。
デニス・クレショフ最高経営責任者(CEO)によると、エルヴィスは椅子や自動車、人などの輪郭を識別でき、テーブルの上のカップやペンなど、小さいものを「見る」には近くへ寄る必要がある。新聞を読むことまではできない。
充電は一般のUSBタイプで可能。1回の充電で使える時間はプロトタイプでは3時間だが、実用化段階では8時間となる。
現在、ネズミで埋め込み部品の安全性を点検中だ。年内から来年にかけて、設定を変えてネズミ、サルで実験する。当局の承認を経て、24年に臨床試験を実施する。
価格は端末、システム運営、医療サービス、リハビリ費用込みで10万米ドルとなる見込み。医療当局の承認を受けることで、国内ではユーザーの自己負担なしで利用できるようになる。
世界で暮らす全盲者は約3,500万人(うち、ロシア約10万人)、ロービジョン(低視力)の人は2億4,600万人と推定される。