コウノトリの村~ポーランド

ロシアの飛地領土カリーニングラード州と国境を接しているポーランド北東部のジフコヴォは、「コウノトリの村」として知られている。住民数19人に対して、晩夏に旅立つコウノトリの数は毎年200羽近く。村人たちはコウノトリに居心地が良いよう気を配る。

ジフコヴォは、マズーリ地方に良く見られるレンガ造りの家や木で建てられた農家のある小さな村だ。しかし、家や納屋の屋根、電柱にはコウノトリの大きな巣が乗っかり、今年は43組が訪れた。野鳥保護センターのアダム・モンドリさんによると、8月の終わりにアフリカへ旅立つ頃には200羽ぐらいに増えるという。

モンドリさんはコウノトリが村にいるイースターから8月末まで、村付近の牧草地50ヘクタール(サッカーフィールド70面分)の草を定期的に刈る。野鳥保護協会PTOPの保有地で、コウノトリのエサとなるネズミ類が多く住む。草を刈ることで、エサが捕まえやすくなるというわけだ。

国内の他の地域では畜産から畑作へ移行する農家が多く、牧草地が減ってコウノトリも減少している。モンドリさんによると、ジフコヴォは牧草地だけでなく川や湿地もあり、コウノトリのエサに不足はない。

「コウノトリの村」であることが全国に知れ渡り、村人は夏のバカンス客を受け入れるようになった。野鳥保護センターは観察しやすいように高さ10メートルの展望台を設けた。

展望台の横に住むイレーナ・クルさんは「コウノトリがいるのは当たり前だけれど、それでも特別な存在」と話す。長く厳しい冬が終わり、待ちに待った春と一緒に訪れるのがコウノトリだからだ。クルさん宅には巣が4つあり、コウノトリのいる間はにぎやか。「夏の終わりに飛び立ってしまうと、静かなだけでなく、寂しい」という。

「コウノトリは冬にアフリカの故郷に帰るという人もいるけど、逆だと思うわ」とクルさん。「だって、子どもの生まれるところが故郷でしょう?」というのがその主張だ。

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