英半導体大手ニューポートを中国系が買収、政府は安全保障の観点で調査へ

中国の電子機器大手、聞泰科技(ウィングテック)は5日、オランダの半導体子会社ネクスペリアが同業の英ニューポート・ウエハー・ファブを買収したと発表した。買収額は公表されていないが、欧米メディアによると約6,300万~6,500万ポンド(約96億~100億円)程度とみられる。世界的な半導体不足が深刻化する中、英国では中国系企業による買収を懸念する声が根強く、ジョンソン首相は6日、国家安全保障の観点から調査を行う方針を明らかにした。

ニューポートは1982年設立で、電力を効率的に制御するパワー半導体を手がける。自動車向け半導体に強みを持ち、英西部ウェールズの工場では月間3万5,000枚以上のウエハーを製造している。ネクスペリアは2019年にニューポートの一部株式を取得していたが、今回の取引で100%出資の完全子会社とし、工場と約400人の従業員を引き取る。

ネクスペリアのアーキム・ケンプ最高執行責任者(COO)は声明で「ネクスペリアには野心的な成長計画がある。ニューポートの買収により、世界的な半導体需要の増大に対応することが可能になる」と強調した。

ただ、英国では4月に通信、防衛、人工知能(AI)、エネルギーなど17の重要分野で外国企業の投資を規制する「国家安全保障・投資法」が成立しており、安保上問題があると判断した場合、政府は取引を阻止することができる。このため中国企業が絡む今回の買収案件について、議会を中心に政府に介入を求める声が高まっていた。

ジョンソン氏は6日の下院特別委員会で「ニューポートを巡る懸念はウェールズ自治政府から伝えられている。中国系企業による買収について、安全保障上の影響があるかどうかを判断しなければならない」と述べ、ラブグローブ国家安全保障担当補佐官に調査を命じたことを明らかにした。

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